設立までの沿革

 ダード・ハンターが和紙調査のために来日して産地を歴訪し、和紙関係者を勇気づけ、和紙復興運動を活性化したのは1933年、ハンター50歳の時であった。それ以来50年、日本では和紙の伝統維持のための公的施策、文化人による和紙復興運動が講じられてはきたが、生産家は漸減する一方であった。
 1978年、和紙も含めて、伝統工芸産業の振興と手仕事の文化継承のために、世界の新しい工芸の思潮との出会いと交流を図るWorld Craft Council ’78 Kyotoが開催された。政府はじめ全国の関係機関の支援を取り付け、京都の産・官・学の関係者が連携し、日本文化の国際的な発信と国内での啓蒙に大きな貢献をした。この成功により、京都には国際的な文化イベントの推進力が培われたのであった。
 その頃アメリカでは、1976年、ジェーン・ファーマーの企画したNew American Paperworks が世界巡回されることとなり、出品者はじめ関係者の来日が予定されていた。 アメリカでの手漉き紙への関心の高まりは、1978年にハワイで開かれたタパと和紙のシンポジウムに和紙関係者10名が参加し、その熱気が日本に伝えられていた。
同展の京都での開催が1983年に決定すると、日本での紙会議開催の要望が高まり、IPC’83 KYOTO開催となったのである。手漉き紙に関心を持つ世界18か国の500名あまりの関係者が、作品、情報と技術の交流、討論により、紙についての新しい認識と展望を分かち合い、エポックメーキングな成功を収めた。
 日本・紙アカデミーはこの会議の成果と国際的なネットワークに対応し、ポストIPCの世界の紙文化の振興に寄与するために、1988年に京都で設立された。

 

 

設立趣旨

 人間の文化のなかで、紙は記録と伝達をはじめとする、多様な役割を果たしてきました。しかし現代においては、それらの機能に加えて、 さらにその本質と意味が問われつつあります。人類の偉大な産物としての紙は、まさに新しい変革に遭遇しつつあるのです。 それは、緑の地球、その未来についても重要な課題でありましょう。

 この様な時期にあたり、世界から日本の紙に対して熱い目が注がれていることを、私たちは確認せねばなりません。 それは、古代以来の紙の伝統を伝える和紙が、いまも溌剌とした生命を持つとともに、工業社会のなか、 新しい紙の意味が実験されつつあるためと考えられます。

 1983年、京都で開かれた国際紙会議は、世界最初の最も充実した会議として記憶されています。それは、 紙をめぐる国際的な文化の熱い交流でありました。それをさらに展開させるために、私達は、世界の人達の要望によって、   日本・紙アカデミーを設立いたしました。

 紙の本質、歴史、加工、創造、情報媒体、芸術素材など、紙を中核として、ジャンルを越えて広がる次元の世界をここに結集して活動しています。 日本・紙アカデミーは、紙を愛し、紙を考えるすべての人々に広く門戸を開き、共に未来の紙の世界を開くための集まりであることを願うものです。 積極的なご参加を歓迎いたします。

(1988年6月)

会員

個人、法人、賛助会員(スポンサー) 名誉会員;寿岳文章

役員

会 長;町田誠之 1988~2000  2000~現在 名誉会長
      尾鍋史彦 2000~2004
副会長;吉田光邦、柳橋真、稲垣寛、小谷隆一 
    並木誠士、森田康敬 2006~

主な

業務

年次総会、紙文化にかかわる研究会、見学会、各種展覧会の開催、国際会議の開催、
参加、出版と機関紙の発刊、紙文化振興に貢献した人、団体の顕彰
国内外の関係機関との連携

 

 

 

 

< 年次活動 >
1988

ドイツレオポルドホーエッシュミュージアム主催の国際紙造形展第2回「paper Biennale」に東洋部門の
コミッショナーとして作品のとりまとめ、審査員の派遣
機関紙「紙」創刊号、2号

1989

創立事業として 上記国際展の選抜作品展 国際紙造形展」開催
東京、徳島巡回、カタログの制作(2)
紙会議京都‘89開催 
機関紙「紙」3,4号

1990

ドイツレオポルドホーエッシュミュージアムでの第3回「Paper Biennale」への日本からの
出品取りまとめ、審査員派遣
機関紙「紙」5号

1991

ヘルシンキ4都市巡回展「paper has a possibility」企画協力
日本・紙アカデミー賞創設 
1)学術研究部門;大江礼三郎
2)科学技術部門;手漉き和紙簾桁製作者グループ
3)美術工芸デザイン部門;高橋堅次
4)紙文化振興、国際交流部門;阿波和紙伝統産業会館、小谷隆一(IPC'83KYOTO 実行委員会)
機関紙「紙」6,7,8号

1992

紙アカデミー講座開催 講演集「紙-7人の提言」思文閣出版より出版
第2回日本・紙アカデミー賞 

1)久米康生

2)中村元

3)黒崎彰

4)竹尾栄一
機関紙「紙」9,10,11号

1993

「日本の現代紙造形」展 モントリオール市ギャラリーで開催
紙アカデミー講座科学編 「現代社会における紙」開催
第3回日本・紙アカデミー賞 
1)小林良成生
2)吉田桂介
3)鹿目尚志
機関紙「紙」12号

1994

紙アカデミー講座「国際紙シンポジウム‘95」に向けて
第4回日本・紙アカデミー賞 
2)青地一興 
3)馬場考良
4)中根愛子
特別賞;IAPMA
機関紙「紙」特別号、13号

1995 国際紙シンポジウム‘95開催(3)
第5回日本・紙アカデミー賞 
2)遠藤忠雄
3)坂茂
4)桜井貞子、森田康生
機関紙「紙」14号、15号
1996

全国手漉和紙展 「匠たちの技と心」主催

「紙の源流から未来まで」わがみ堂より出版
機関紙「紙」16号

1997 「ライプチィッピ・コレクションについて」他、講演会
第7回日本・紙アカデミー賞 
2)尾崎茂
4)亀井健三、清家豊雄
機関紙「紙」17号
1998 「19世紀の和紙」展開催 今立、東京、美濃、高知へ巡回
記念シンポジウム開催 図録制作(4)
第8回日本・紙アカデミー賞 
1)廣瀬晋二
2)古田さよ子
4)フリーダー、シュミット
特別賞;海部桃代、中野はる
機関紙「紙」18,19,20号
1999 「19世紀の和紙」展 東京展記念講演会
機関紙「紙」21,22号
2000 「和紙の道しるべ」町田誠之著 淡交社より出版、記念講演会開催
機関紙「紙」23,24号
2001 日本紙・アカデミー シンポジウム「紙の21世紀」開催
機関紙「紙」25号
2002 研究発表会開催
「越前和紙の紙造形家たち」展開催(紙パルプ技術協会協賛)
2003 研究発表会
2004

IPC’04「日本の紙文化の国際化」シンポジウム、国際紙造形展 
研究発表会

機関紙「紙」26号

2005 プロジェクト「紙は今―2005」展覧会、ワークショップ開催

2006

プロジェクト「紙は今―2006」展覧会、ワークショップ(5)
機関紙「紙」27,28号
2007 講演会、研究会開催
機関紙「紙」29,30号
2008 研究発表会、講演会開催
機関紙「紙」31号
2009 「平安京の紙屋紙」町田誠之著京都新聞社出版センターより出版、記念講演会
機関紙「紙」32号
2010 講演会、寿岳文庫見学会、開催
機関紙「紙」33号
2011 シンポジウム、講演会開催
機関紙「紙」34号
2012 講演会、見学会開催
機関紙「紙」35号
2013 「紙―7昨日、今日、明日」思文閣出版より出版

2014年以降の展望

 日本・紙アカデミーの活動は和紙を基盤として培われた日本の紙文化を糧として、現代の豊かな紙文化の創生に貢献することを目指して実施されきました。
  設立から四半世紀の足跡と成果を出版にまとめたのを機に、従来の活動をここで一旦休止し、休会といたします。
 情報革命が加速度を増して進展し、情報媒体としての紙の機能に対し異なった見方がされつつある社会にあっても紙の優位性は揺るがず、紙を巡る文化の多様さ、多彩さはこれからも減じることはないと思われます。
  そのような時代の潮流の中で紙の存在の新たな意味を確認し続ける作業が、紙のエキスパートたちの課題となるでしょう。それら作業を経たうえで、新たな紙文化の創生と振興が、ユビキダス社会に見合ったにかたちで、国際的な拡がりをもって実施され続けることを期待いたします。 

                                            2014年 春

      
                                日本・紙アカデミー 名誉会長 町田誠之
                                          副会長  並木誠士

                                          副会長  森田康敬

                                          顧問   尾鍋史彦
               

 

 会の活動記録、出版物の多くは国会図書館でご覧いただけます。予備がある分につきましては実費でご提供させていただきます。出版物、会についてのお問い合わせ、ご質問などには、有志メンバーにより対応させていただきます。

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